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1000はてブとなったスライド。何を意識して書いていたか。

2016年に3つスライドを作成・公開したのですが、ありがたいことに、そのうち2つで 1000はてブを頂くことができました。

ただ、 1000はてぶをいただけたのは、私がどうというよりは、テーマが普遍的で、なかなか明確な答えが出るものでもなく(いつの時代でも文脈ごとに悩まれるもの)、エンジニアに限定せず様々な人の広く興味関心を引くものであったからだとは思っています。

ただ、個人的には 「伝わらないのは伝える側のせい」 というのを座右の銘にしていて、どうすれば伝わるのか?というのを常に考えるようにしています。 ですので、書くときに意識していたことというのは、ある程度ほかの方にも役立つのかなと思っていますので、自分の整理のためにも書いてみようと思います。

ぜひご一読をばと思います。

書き手、読み手、双方にメリットがあると確信したテーマで書く

くだんの2スライドは、本来は自分自身の知見や思考が整理したいがために書いたスライドです。つまりは自分のメリットのために書いたものということになります。自分にメリットがないと、情熱的に筆がすすみませんから。

一方で、自分の経験や知識を知ってもらうことや、そもそもその課題自体に目を向けてもらって少しの時間でも考えてもらうことが、読み手のメリットにもなると確信していたがゆえ、それらのテーマで実際にプレゼンテーションをし、公開をしました。

相手の時間を奪う わけですから、当然ですね。少なくとも自分なりの確信を持って、人の時間を頂戴すべきです。

しかし、この「確信」は、次の「スライドをいきなり書き始めない」のフェーズで、徐々に確立されていくものでもあります。 ですので、 最初からこれがなくても、とりあえず考え初めてみる ことをおすすめします。

スライドをいきなり書き始めない

上述のとおり、私の場合は特に、スライドを書くこと自体よりも、自分の思考を整理することが目的であるため、書く内容をあれやこれやと考えている時間が最も重要です。80%の時間はこれに費やしているイメージです。

そもそもですが、自分の思考を整理のためにプレゼンを利用することは非常に有効だと思っています。 やはり、 だれかに伝わる状態に持って行けたものが、整理された思考 だと思うからです。

シンプルですが、非常におすすめなのが、 「書く」 ことと、 「話す」 ことです。

ひたすら書いては消し、書いては並び替え、を繰り替えながら、何を言えば聞き手の/読み手のメリットとなるだろうか、どの順番で話せばストーリーとして成り立つだろうか、と試行錯誤します。 私は、初期はマインドマップ、その後はマークダウンで書きます。この段階で、スライドにし始めてしまうと、修正コストがかかり、修正することが億劫になってしまいます。

そして、なるべく速い段階で、その内容を誰かに話してみるのが良いです。 誰かと話すことで自分の思考が確立されていく 、というのは誰しも経験したことがあるのではないでしょうか? またこのタイミングになると、もはや いち聴衆の気持ちというのは自分の中から失われている ので、客観的な意見ももらえることになります。

これらの繰り返しによって、「書き手、読み手、双方にメリットがあると確信したテーマ」が生まれていきます。

ストーリー・テラーになる

人間はストーリーが好きです。(少なくとも僕は大好きです。) スライドもストーリーを意識し、なにもしらないまっさらな読み手の感情の変化を想像しながら、書きます。 もうこれは、恥ずかしがらずなりきるしかないですね。

ちなみに、 スライド中に「問いかけ」のことばを入れる ことは、読み手をストーリーへ引き込む良い方法だと思って多用しています。

スライドだけ読んでもわかるように意識する

プレゼンテーションを伴う場合、当日のプレゼンテーションだけでなく、その先の スライド公開にも目を向けた方が良い と思います。 ただしこれは、聞き手が、言葉ではなくスライドに注目しすぎてしまう恐れもあるので、プレゼンテーションという観点では逆効果にもなりえるので、トレードオフでもあります。 その場合は、せめて文ごとにアニメーションをつけるなど、なるべく聞き手が「読んでしまわない」ような工夫をするようにしています。

プレゼン用と公開用のスライドを作れるのがベストですが・・・!

文脈や前提を明記する

「マサカリ対策をする」と言い換えることもできます。

至極当然のことですが、 書き手は自分の文脈で書くし、読み手は自分の文脈で読みます

マサカリには、 良いマサカリ(示唆をあたえ議論を深めるもの) と、 悪いマサカリ(ただ論点がずれてしまうもの) がありますが、後者が投げられてしまうのは、多くの場合、 投げた当人が悪い訳ではなく、書いたもので「伝えられていない」 と思っています。

読み手として読み解く努力(もしくは、見えていない前提があるということを前提とする読み方)も必要ですが、書き手の正しく伝える努力は欠かせません。

冒頭に「前提」のスライドをもうけたり、要所で(小さめのフォントで)但し書きをするのが良いと思います。

これもスライドが冗長になる恐れがあるのでトレードオフですね。

スライド内でメリハリをつける(フォントや色にこだわる)

「スライドだけ読んでもわかるようにする」「文脈や前提を書く」と、どうしてもスライド内の文字量が多くなります。 そうなってくると、スライドにメリハリをつけ、 伝えたいポイント一目でわかるようにする ことが重要です。

  • 見出しと本文のメリハリ
  • 重要なポイントのメリハリ

私は、前者をフォントの使い分け(e.g. ヒラギノ角ゴ StdN W8 と ヒラギノ丸ゴ ProN W4)、後者を色(赤系)で表しています。

おとしめない、挑発しない

これはスライドにかかわらず日常のコミュニケーションでも同じですが、 何かをおとしめたり、挑発するような表現は、受け手の気持ちを本質から遠ざけるだけ です。悪いマサカリを飛ばしたくなりますよね。

どうしても何かを否定せざるを得ない場合は、「文脈や前提を明記する」ことを忘れないようにしています。

id:konifar さんの以下記事が、とてもよくまとまっている素晴らしい記事です。

伝えたいことがあるなら汚い言葉は控えた方がいい - Konifar’s WIP

引用の力をかりる

著名な書籍などから引用するパターンです。

特に、あまり深掘りしたら伝えたいことから遠ざかってしまうような前提情報などについては、積極的に使います。 どこぞの誰かもわからない私なんかが一生懸命言うより、 皆から信頼される権威的な人物の言葉を借りた方が手っ取り早い ですね。

ただし、スライドのメイン部分となるような部分で乱用するのはよくありません。 スライドのメイン部分は自分の経験、知識を元に、自分の言葉で表現しなければ、何の意味もありません。

興味を喚起するタイトルをつける

タイトル(での釣り)は大切です。 そもそも開いてもらわないと、なにも始まらない ですから。

これももう恥ずかしがらず、ラノベ作家になったつもりで考えます。 ただし、過剰に期待をあおるものはだめです。内容と丈のあったタイトルをつけましょう。

私のスライドは、基本的に自分自身の課題を起点にしたものなので、各人の中にもあるであろう同じ課題を喚起するような、「質問」のパターンとしています。 「質問」の力はすごいですね。

タイトル パターン
あなたのチームの「いい人」は機能していますか? 内在している課題へ質問して、喚起するパターン
エンジニアが納期を守れていないとしたら、そこにはいったい何があるのだろう?(あるいはいったい何がないのだろう?) 内在している課題を自問の形で、喚起するパターン

猫の写真を多用する

  • 猫かわいいよ猫

ということで、私が「伝える」ために意識していたことを、つらつらと書いてみました。 なにかの役に立てれば幸いです・・・!