リモートミーティングに臨むときに意識しておくと良いこと(まだ慣れていない人向け)

緊急事態宣言も出され、多くの人がリモートで仕事をするようになったと思います。 特に、これまでリモート中心で何かをすることを前提にしていなかった組織で、急にリモート中心で仕事をすることになったケースもあると思います。

ここでは、私が(特に大勢での)リモートビデオミーティング(以下、リモートミーティング)に臨むときに意識的していることを記そうと思います。

リモートミーティングの具体的なチップスは、Web 上に数多くあると思いますが、 自分でチップスを考える上でも、これを念頭に置いておくと新しいアイディアを考える際のヒントになるかもと思います。

「オフラインの対面ミーティングと、リモートミーティングは別物」

私がリモートミーティングに臨むときには意識的に考えていることは、「オフラインの対面ミーティングと、リモートミーティングは別物と考える」ということです。つまり、「オフラインでやっていた対面ミーティングを、リモートツールを使ってやるだけ」と考えないということです*1。 こういった考えをしないでリモートミーティングに臨むと、いつものオフラインの対面ミーティングではうまくできていたことができず、フラストレーションを抱えることになります。こんなご時世、ストレスは少しでも少ないほうがいいですよね。

リモートミーティングとオフラインの対面ミーティングの違い

やってみるとすぐに感じることと思いますが、リモートミーティングでは、(特にマイナス面として)以下のような違いがおこります。

  1. ノンバーバル(非言語)コミュニケーションが少なくなっている
  2. 通信遅延などにより、やや非同期的なコミュニケーションになっている
  3. 特に音声において、「空間」の概念がなくなっている
  4. 各自の環境と設備にはばらつきがあり、それらの品質がミーティング品質に影響している

違い1: ノンバーバル(非言語)コミュニケーションが少なくなっている

一番わかりやすいケースは、設備や環境の都合でビデオがオンにできない場合です。この場合、視覚上の情報はゼロになります。 またそこまでではなくとも、見える範囲が狭い、画質の問題、ビデオ会議ツールによっては一度に多くの人の顔を見れない、など、ノンバーバルコミュニケーションが減ることになります。

対面で良く利用される「アイコンタクト」もできなくなります。 また話し手は、他のノンバーバル情報が減ることで、わかりやすいうなずきや逐一の返事などを聞き手に求めすぎてしまうことも起きます。

メラビアンの法則」的には 「55% の情報を視覚から受けている」と言われていますので、これが減ることのフラストレーションは大きなものに感じるかもしれません。

違い2: 通信遅延などにより、やや非同期的なコミュニケーションになっている

通信の遅延は少なからず必ず起きています。 自分の発言にリアクションがすぐに来なかったとしても、それは通信遅延が影響していることがあります。単純な遅延によるリアクション遅れもありますし、通信遅延により全体としての話の間合いが取りづらくなり、発言を躊躇している場合もあります(発言かぶりの恐れなど)。

ですので、オフラインの対面ミーティングと同じテンポで会話ができずフラストレーションを覚えます。

違い3: 特に音声において、「空間」の概念がなくなっている

リアルな場とちがって、各自の声は(だいたいの場合は中央に定位されていて)等しくミックスされて聞こえてきます。これによって、同時に発言が起きると誰が話したのかを特定することは難しいです。そのため、遅延による発言のかぶりが起きやすい上に、その発言のかぶりはオフラインの対面ミーティング以上にフラストレーションを感じます。

違い4: 各自の環境と設備にはばらつきがあり、それらの品質がミーティング品質に影響している

特に、ネットワークの速度、マイクの品質(マイクの指向特性などを含む)、周囲の騒音レベルについては、リモートミーティングへ影響を与えます。 ネットワークが遅く画像や音声が途切れたり、マイクの指向特性が広すぎてまわりの音を拾いすぎて、話し手の声が聞こえなかったりします。 また、設備に問題がある本人はそれに気付いていないことがある、というのがこの問題の厄介なところです。

リモートミーティングの違いを乗り越えるために

これらの違いを乗り越えるためには、まず上記すべてを「制約」として受け入れ、オフラインの対面ミーティングで持っていた期待をなくすことが大切だと思います(「アンラーニング」と言えるのかもしれません)。その上で、リモートミーティングならではの工夫を考えると良いと思います。

以下の@iwashi86さんの記事のように、具体的な工夫、チップスについては、世の中にたくさん出ていると思いますので、あまりここでは紹介しませんが、制約として受け入れたときの発想の例を一部書いておきます。

iwashi.co

ノンバーバルが減ることを制約と捉える

  • アイコンタクトの代わりに、「〇〇さんはどう思いますか?」「全員に質問しています」と明確に発言する
  • 聞き手かつビデオオンの場合は、いつもよりもうなずきを意識的に行う
  • 聞き手の場合は、ビデオ会議ツールのリアクション機能を使う
  • 話し手の場合は、うなずきなどに期待しすぎず「返事がないのは良い知らせ」と思う。また、いつもよりも「ここまででなにかありますか?」と問いかけて一定時間待つ。

遅延があり、非同期コミュニケーションであることを制約と捉える

  • オフラインの対面ミーティングと同じ会話テンポを求めない
  • いつもは自由に発言していたミーティングに、少し固めの進行役(話を降る役)を立ててみる
  • 「非同期コミュニケーションの代表格」である、チャットを同時に併用する(会議のリアクションをチャット上でもやってもらう)

「空間」が無いことを制約と捉える

  • 相手の発言が終わってから話す(発言を被せない)ことを、より徹底する

各自の環境と設備のばらつきを制約と捉える

  • 環境が良くない人に歩み寄る
    • 時にはビデオをオフにしてもよいことを参加者内で合意し、それに配慮した進行をする
    • 複数人が同じ場所集まっていても、全員それぞれの PC からビデオ会議ツールにつなぐ
  • 設備の低品質に本人が気付いていなそうなら、遠慮なく指摘や提案をする(ヘッドセットの購入や、iPhone 付属のマイク付きイヤホンのをおすすめしたり)
  • 家族やお子さんの声は、癒やしの時間と捉える

最後に

主にリモートミーティングのマイナスっぽい特徴を書きましたが、個人的にはむしろ、リモートミーティングの持つプラスの可能性のほうがワクワクします。 この記事では「制約と捉える」ことを中心に書きましたが、それ以上に「機会」と捉えるのが良いよなと考えています。(「空間がない」とか可能性しか感じないですよね)

みなさんも工夫していることがあったら教えて下さい。

*1:思考実験的に「オフラインでやっていた〇〇をオンラインでやるには?」と考えるのは良いことだと思います。